Ferrari 288GTO
– Dream to Race –
Gran Turismo Omologato
世界ラリー選手権グループBへの参戦を目論んで生産されたといわれているが、1986年の事故によりグループBカテゴリが廃止されてラリーのみならずいかなるレースにも出走の機会を失ってしまったDream to Raceな逸話が残る名車。
グループBは1982以前に「2座GTカー」カテゴリ:”Group 4″の見直しを行い、ホモロゲーション規定として生産台数200台以上と従来の半分以下という台数制限であったことと共に、ラリー部門では最上位クラスとなった。 当初の予定ではラリーとツーリングカーで運用されるはずであり、ラリー部門ではチューニングが過激になり死亡事故が多発したため86年末に廃止。ツーリングカー部門で企画されたマシンはフェラーリ288GTOとポルシェ959があったが、ツーリング部門に興味を示すメーカーが少なく、また、ラリー部門での事故により結局288GTOはレース出場の機会を失ってしまった。
フェラーリ288GTOのエンジンはV8-2,855ccに2基のIHI製ターボを組み合わせた400馬力の当時としてはモンスターマシーンである。このエンジンは当時グループCで活躍をしていたレーシングカーであるランチア・LC2用の3,000cc V8 DOHCツインターボを2,855ccとしたものである。さらにさかのぼると、フェラーリ308GTBのV型8気筒をアバルトが2.6リットルツインターボ化したものをミッドシップに搭載したものである。LC2の排気量は1984年のル・マン24時間レースから3,015ccに拡大されている。
フェラーリ288GTOのボディデザインは308GTBと同様ピニンファリーナが担当しており、意図的に308GTBに似せてはいるが、競技参加を前提としてグループBのホモロゲーションに沿って製作されエンジン搭載方式が縦置きになり、軽量化のため一部外板パーツにカーボン樹脂製のものが使われるなど大改造を受け、外装・内装ともにほとんどのパーツが専用設計で308との互換性は非常に少ない。
フェラーリによる正式名称は”GTO”であるが、1962-64年に生産されたフェラーリ250GTOと区別するため、ファンの間では”288GTO”とよばれている2代目GTOである。
ホモロゲーション用の200台を超えた 車体番号(s/n) 52465 – 58345の272台が生産され、戦う場を失ったが、熱狂的なコレクターからの注文が殺到した。
フェラーリの車体番号ルールとして、
『奇数:GTカーなどの市販車、偶数:レース専用車』
があるが、75000番以降は車体番号の偶奇分けは行われていない。1985年に誕生した”一般車”フェラーリ328シリーズが308シリーズを超える人気となり途中から偶数番号を”一般車”にも刻印するようになった。車種全てが奇数番号でコーディングされたのは288GTOが最後となった。
フェラーリ288GTOの後継車として、のちにレーシングカーに近い「288GTO Evoluzione」が製作され、各地のサーキットで走行テストを繰り返す中で得られたエンジンやメカニズムに関するノウハウやデータは事実上の後継車であるF40の開発に役立てられ、F40によりレースで優勝するという目的は達成されることになる。
308GTB
ランチア・LC2
288GTO