308GTB・GTS

 

– Dawn of V8 series –
V8ミッドエンジンの始祖

308GTB_GTS

 1969年にロードカー部門がフィアット管理下に置かれることとなり、フェラーリにおいても生産性の向上が求められる時代に突入していた。また、Dino 206GT(1967年)、Dino 246GT(1969年)に搭載されたV6エンジン、Ferrari 365GT4BB(1973年)に搭載されたV12エンジンなどフェラーリのロードカーは当時全てミッドシップエンジンへと切り替わっていた。これらツーシーターの発展系である4座モデルという新しい試みとしてDino 308GT4がミッドシップエンジンの2+2モデルとして登場(1973年)している。246のエンジンから一新した新開発のV8エンジンを横置きにしたモデルであり、その後の8気筒フェラーリの原点となったモデルである。

 

 308のエンジンは排気ガス規制対応のためキャブレターから燃料噴射、パワーダウンに伴う対策として1気筒あたり4バルブ化を行い、さらに2+2モデル308GT4の後継車種であるMondialにも使用するなど長期間にわたり多くの車種で使われたため、同一型のエンジンとしては当時までの総生産量を上回るエンジン生産台数となった。

BuiltEngine

 生産性向上の要求にあわせてプレス加工のボディ生産技術を取り入れたフェラーリは308GT4のエンジンを改良した上でFerrari 308GTBを1975年に発表した。V8の原点となった308GT4は発表当時は”12気筒でなければフェラーリでない”という考えが根付いていたため、当初はDinoと名付けられていたが、308GTBの大成功により1976年からはFerrari 308GT4とフェラーリを名乗ることとなった。

 Ferrari 308GT系はフェラーリのV8時代の幕開けを告げる車種となり、近代フェラーリの量産体制を築く車種となった。このあとに登場するFerrari 288GTOの原器ともいわれる308GTシリーズは美しいスタイルとクラスのトップをいく性能により、販売開始と同時に成功を収めた。