365GTB4

 

– Last FR Racing Tourer-
Daytona

365GTB
 

 1967年のデイトナ24時間レースで、歴史に残る1-2-3ゴールを達成したフェラーリ。これに敬意を表して1968年秋パリ・サロンにて発表されるやいなや「デイトナ」のニックネームを授かったモデル「365 GTB4」。

 当時アメリカのフォード社はフェラーリ社の買収攻勢を続けていたが、買収に失敗したフォード社はレースの場でフェラーリを打ち負かすべく技術と資金を注ぎこんだGT40を1964年に登場させている。1966年にはGT40 MkIIを登場させ、フランスのル・マン(Le Mans)にて1-2-3フィニッシュを飾り、その年のスポーツカー・マニュファクチュラーズ・チャンピオンシップを獲得している。この屈辱を晴らすべく、翌年330P4にてアメリカのデイトナ(Daytona)で最後の三周を三台一列に並べて一斉にゴールしたいわゆる”デイトナフィニッシュ”を見せつける圧倒的な勝利を飾った。

330P4_DaytonaGoal
 この伝説的な勝利の翌年に発表された「365GTB4」はデビューするやすぐさま“デイトナ”と呼ばれるようになった。当時のメディアがつけた非公式なネーミングであるが、この非公式な名前が定着し、いまでは”デイトナ”といえばこの車種を指している。

フェラーリ・デイトナ

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 ピニンファリーナがデザインしたボディをスカエリエッティが制作した初期のノーズ部分は全面プレキシガラスで覆われ、奥に4灯式ヘッドライトが備わる独特のシャープなノーズ形状であった。なお、1971年以降は主要市場であるアメリカの法規変更によりライトシステムは同じ4灯式ながらリトラクタブルヘッドライトに変更されている。
 1971年からは18台のレース用”コンペティツィオーネ”が制作され、キネッティNART、ポッツィ、フリピネッティ、スワター、ホーアなどのプライベートチームからレースに出場していた。

 なお、レース環境ではフロントエンジン・リア駆動のFRが時代遅れとなっており、ミッドシップエンジンが主力構成となっていた。フェラーリではグランドツアラーにおいてもその流れに逆らうことはできず、’67年のDino 206GT、’69年のDino 246GTを皮切りにグラントツアラーは全てミッドシップエンジンへとシフトしている。なお、フロントエンジンのフェラーリは’92年の456GTで登場した、ラグジュアリカーという新たな分野にて復活している。